
Mount Takao
高尾山(東京・八王子)
京王線の終点、高尾山口駅の改札を出ると、
杉の香りをまとった木造の駅舎が迎えてくれます。
高尾山口駅のデザインは日本を代表するデザイナー、隈研吾氏。
まるで山そのものを象ったような大胆で特徴的なデザインは、
髙尾山薬王院をイメージして作られ、
参道のスギ並木を意識した内外装には、
地元の杉を使用しているのが特徴です。
ここから静かに旅が始まります。
山の上には小さな茶屋や土産店が点在し、
名物の豆腐ソフトクリームが旅人の疲れをやさしく癒します。
赤い灯篭が並ぶ参道を進むと、
樹齢450年を超える「たこ杉」が。
天然記念物とされる「たこ杉」のその形はまるで大地の力がねじれて生きているよう。
今は保護のために直接触れることはできませんが、
近くの石碑に触れることで長い年月の息づかいを感じることができます。
男坂と女坂の分かれ道、どちらを選ぶかが小さな旅の分岐点。
挑戦的な男坂の急な石段を登り切ったときの達成感は格別。
一方、ゆるやかな女坂では季節の花や鳥のさえずりを感じられます。
やがて姿を現すのが、天狗の像と高尾山薬王院。
天狗は、魔除けや開運など多くのご利益があるとされており、
古くから修験者が修行したこの山では、
天狗が山を守る存在と信じられています。
香の煙がゆるやかに立ちのぼり、どこか懐かしい祈りの空気。





山頂への登山ルートは複数路。
ハイキングでのんびりと自然を感じながら歩みを進めるルートはもちろんのこと、ケーブルカーで中腹まで一気に登るもよし、リフトで空の中を進むもよし。
ケーブルカーを降りた先の展望台では、
遠くまで広がる東京の街並みを一望することができます。
晴れた日には、富士山がその輪郭を現すことも。


東京都心部から電車で一時間、
日帰りで行ける高尾山。








標高599メートルの山頂。
眼下には東京、遠くには山々の連なり。
雲に隠れて富士山が見えない日でも、
この静けさと澄んだ空気が心を満たします。


高尾山──それは、都会からほんの一時間で出会える「静寂の日本」。
自然と祈りが今も息づく、東京のひとつの顔です。

